奈良・地元高校生が募金活動 ◎3月16日◎
高円高校のみなさん
朱雀高校のみなさん
前々から調査旅行の予定があり、京都を経由して奈良へ来ている。いま、近鉄奈良駅や付近の商店街では奈良県の地元高校生たちが募金活動を行っている。 方々で、「東日本大震災の被災地のみなさんに、募金をお願いします」という声が飛び交っている。
駅前で募金活動をしている女子高生に話を聞いた。四月から高校三年生になる彼女は高円(たかまど)高校の生徒で、地元の新聞から畝傍高校が有志で地震に対する募金活動を行っていると知り、 友人と共に自校の生徒たちにも呼びかけて募金活動を始めると、学年を超えて多くの賛同者が集まった。ツイッターなどで被災地の様子や関東の混乱状態も情報として入ってきているという。 保護者も付き添いで、8時から12時半まで駅や付近の商店街で募金活動を行う予定。集まった募金は朝日新聞の厚生文化事業団を通じて被災地へ寄付される。
また、商店街の路上では朱雀高校の生徒たちが募金活動を行っていた。募金活動を統括する高田昌彦先生に話をうかがったところ、同校で高田先生が顧問を勤める「奈良朱雀 ビジネス企画部」はじめ、生徒会や運動部が一緒に募金活動を展開している。 近鉄奈良駅前だけでなく、西ノ京駅や近鉄郡山駅前などでも募金活動を行った。「日本自体の危機に、生徒たちも積極的に社会と関わっていきたいと考えている。ビジネス企画部で培ったボランティアの経験を活かせれば」とのこと。
正直なところ、今朝京都駅に降り立ったとき、会社員と旅行客でひしめき合うあまりに何事もなかったかのように平然として騒々しい朝の光景に、私は不安を抱いた。同じ日本なのか? と。関西方面では今回の地震に対して、一昨日の深夜の新宿や渋谷とは何か別の「温度差」があるのかもしれないとさえ思った。 しかし、自分たちに何かできないかと真摯に考える高校生たちの行動力と、雪もちらつく寒さの中で懸命に声を張り上げる彼らの姿には勇気付けられる。どうか、彼らの姿が被災地の方々にも届き、いまの苦難を乗り切るための励みとなってほしい。
【追記】
その後、高円(たかまど)高校の女子生徒より合わせて130万円以上の募金が集まったというおたよりをいただいた。また、この日の夕方に斑鳩町の法隆寺駅前で日本共産党が募金活動とボランティアの呼びかけを行っていた。 ボランティアは受け入れ体制ができていないため登録を呼びかけ、「日本全国の人々が震災の救援・復興に全力を尽くすべき」と訴えた。
集めたお金はどのようなルートを辿るのか尋ねると、すでに集まった100万円を奈良県庁に預けたという。筆者は共産党の組織体系を把握していないが、その組織力を被災地の支援にどう活かすかが注目される。 なお、共産党は募金呼びかけの中に「政府に統一地方選挙の全国での延期を申し入れたが実現できなかった」 という内容も折り込んでいたのが気にかかる。
今回の震災に対する各政党の動きは今後の国政の動向に大きな影響を与えうる。特に、統一地方選挙は被災地でのみの延期となっただけに、余計に被害を受けなかった地域での活動が重視されることとなるだろう。これからも注目したい。
(文責 : 稲葉秀朗)